協会けんぽの出産手当金は、被保険者本人が出産のため仕事を休み、その間の給与を受けられない、または給与が出産手当金の日額より少ない場合に支給されます。対象期間は原則として出産予定日前42日(多胎妊娠は98日)から出産翌日以後56日目までです。
出産手当金の手続き概要
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 協会けんぽの被保険者本人が出産のため仕事を休み、給与を受けられない、または給与の日額が出産手当金の日額より少ない場合 |
| 対象期間 | 出産予定日前42日から出産翌日以後56日目まで。多胎妊娠は予定日前98日から |
| 1日当たりの支給額 | 原則として、支給開始日前12か月の標準報酬月額平均÷30×3分の2 |
| 申請方法 | 協会けんぽ電子申請サービス、または加入支部への郵送 |
| 主な証明 | 医師または助産師の証明、勤務状況・賃金についての事業主証明 |
| 申請期限 | 休業した日ごとに、その翌日から2年 |
| 確認日 | 2026年7月28日 |
出産手当金と出産育児一時金の違い
| 制度 | 支給目的 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 出産手当金 | 出産のため仕事を休み、給与が出ない・少ない期間の所得を補う | 勤務先の健康保険に加入する被保険者本人 |
| 出産育児一時金 | 出産にかかる費用を補う | 公的医療保険の被保険者本人または被扶養者 |
支給対象になる主な条件
協会けんぽの公式案内と申請書を基に、申請前の基本条件を確認します。
- 出産する本人が協会けんぽの被保険者である
- 出産のため会社を休んでいる
- 申請対象日に給与の支払いを受けていない、または給与の日額が出産手当金の日額より少ない
- 申請対象日が、出産予定日前42日(多胎妊娠は98日)から出産翌日以後56日目までの範囲に入っている
- 医師または助産師と事業主から必要な証明を受けられる
協会けんぽでいう出産には、妊娠85日(4か月)以後の出産が含まれ、生産だけでなく死産、流産、人工妊娠中絶も対象になり得ます。個別の証明内容は医師・助産師と協会けんぽへ確認してください。
支給期間は産前42日・産後56日
| 状況 | 対象期間 |
|---|---|
| 単胎妊娠 | 出産予定日以前42日から、出産日の翌日以後56日目まで |
| 多胎妊娠 | 出産予定日以前98日から、出産日の翌日以後56日目まで |
| 出産予定日より遅れて出産 | 出産予定日以前42日または98日から、実際の出産日までの遅れた期間も対象 |
| 出産日 | 産前の期間に含める |
1日当たりの支給額の計算方法
1日当たりの支給額は、原則として「支給開始日以前12か月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×3分の2」で計算します。支給開始日は、一番最初に出産手当金が支給された日です。
| 計算項目 | 例 |
|---|---|
| 標準報酬月額 | 16万円の月が6か月、18万円の月が6か月 |
| 12か月平均 | (16万円×6+18万円×6)÷12=17万円 |
| 30日で割る | 17万円÷30≒5,670円。10円未満を四捨五入 |
| 3分の2を掛ける | 5,670円×3分の2=3,780円。1円未満を四捨五入 |
| 1日当たり支給額 | 3,780円 |
給与が支払われる場合と傷病手当金との調整
休業中に別の支払いがある場合は、次の扱いを確認します。
- 休業日に給与が支払われ、その日額が出産手当金の日額以上なら、その日は出産手当金が支給されません
- 給与の日額が出産手当金の日額より少ない場合は、差額が支給されます
- 出産手当金と傷病手当金は同じ期間について重複受給できません
- 傷病手当金の日額が出産手当金の日額より多い場合は、差額が傷病手当金として支給されます
申請書と必要書類
2026年6月版の紙申請書は3ページで、被保険者、医師または助産師、事業主がそれぞれ必要事項を記入します。電子申請でも、医師・助産師と事業主の証明内容を用意します。
一般的な申請で準備する内容です。該当条件により追加書類が必要になる場合があります。
- 健康保険出産手当金支給申請書の被保険者記入部分
- 出産予定日、出産日、出生児数等についての医師または助産師の証明
- 申請期間の勤務状況と賃金支払状況についての事業主証明
- 本人名義の振込先口座情報、または利用する場合は登録済みの公金受取口座
- 支給開始日前12か月以内に事業所変更や定年再雇用等による記号・番号変更がある場合は健康保険加入状況等申告書
- 資格情報のお知らせ等の記号・番号を記入せずマイナンバーを記入する場合は、番号確認書類と身元確認書類
出産手当金を申請する手順
出産予定日、単胎・多胎、産休開始日を確認し、支給対象になり得る期間をカレンダーに書き出します。
勤務先へ出産手当金を申請することを伝え、休業日、出勤日、有給休暇、通勤手当・住宅手当等を含む休業中の賃金支払状況を確認します。
協会けんぽの電子申請を使うか、紙の健康保険出産手当金支給申請書を郵送するかを決めます。紙申請では加入支部を資格情報のお知らせやマイナポータルで確認します。
被保険者記入部分に申請期間、出産前・出産後の別、出産予定日・出産日、振込先などを記入します。申請対象期間が終わる前には提出できません。
医師または助産師に出産予定日・出産日等の証明を依頼し、勤務先に申請期間の勤務状況・賃金支払状況の証明を依頼します。
電子申請では必要な証明書類をアップロードし、紙申請では完成した申請書と条件別の添付書類を加入支部へ郵送します。
受付後は申請状況を確認し、不備照会があれば対応します。協会けんぽは、審査の結果支払い可能な場合、受付日から10営業日以内に支払うと案内しています。
産前分と産後分に分けて申請できます
出産手当金は、産前分・産後分など複数回に分けて申請できます。医師・助産師の証明は、1回目の申請が出産後で、証明により出産日等を確認できた場合、2回目以降に省略できることがあります。事業主証明は、在職中の申請期間ごとに勤務・賃金状況を確認します。
電子申請と郵送の違い
| 方法 | 主な確認点 |
|---|---|
| 電子申請 | 協会けんぽの電子申請サービスを利用します。マイナンバーカードで資格情報を取得し、医師・助産師記入用と事業主記入用などの必要書類をアップロードします |
| 郵送 | 2026年6月版の申請書を使い、被保険者・医師または助産師・事業主の各欄を完成させ、加入する都道府県支部へ郵送します |
申請期限は休業した日ごとに2年
出産手当金の権利は、出産のため労務に服さなかった日ごとに、その翌日から2年で時効になります。申請期間全体に一つの期限があるのではなく、古い対象日から順に時効を迎えるため、書類がそろわない場合も加入支部へ早めに相談してください。
退職後も受けられる条件
退職などで協会けんぽの被保険者資格を失った後も、次の2条件を満たせば継続して出産手当金を受けられる場合があります。
資格喪失後の継続給付の条件です。
- 資格喪失日の前日までに、任意継続被保険者期間を除く被保険者期間が継続して1年以上ある
- 資格喪失日の前日に出産手当金を受けている、または受けられる状態である
よくある間違い
申請前に次の点を確認すると、書類の差し戻しや制度の取り違えを防ぎやすくなります。
- 被扶養者も出産手当金の対象だと思い込む
- 出産手当金と出産育児一時金を同じ申請書で請求しようとする
- 出産予定日ではなく実際の出産日だけで産前期間を計算する
- 出産日を産後期間に含める
- 有給休暇、通勤手当、住宅手当など休業中に支払われた報酬を勤務先へ伝えない
- 申請期間が終わる前に提出する
- マイナンバーを記入したのに本人確認書類を添付しない
- 退職日に出勤して資格喪失後の継続給付を受けられなくなる
よくある質問
夫の健康保険の扶養に入っています。出産手当金は受けられますか?
協会けんぽの出産手当金は被保険者本人が対象です。被扶養者は、出産費用を補う出産育児一時金を確認してください。
産休中に会社から一部の給与や手当が出る場合は対象外ですか?
一律に対象外ではありません。申請期間中に支払われた報酬を事業主が証明し、出産手当金の日額との差額がある場合に支給されます。
出産前と出産後に分けて申請できますか?
分けて申請できます。1回目が出産後で出産日等を確認できた場合は、2回目以降の医師・助産師証明を省略できることがあります。
出産手当金はいつ振り込まれますか?
協会けんぽでは、支払い可能な申請について受付日から10営業日以内が案内上の目安です。受付日、不備の有無、審査状況を確認してください。
出産後に続けて確認する手続き
出産手当金とは別に、出産育児一時金、出生届、子の健康保険加入、児童手当、育児休業に関する給付があります。それぞれ申請先と期限が異なるため、勤務先手続きと市区町村手続きを分けて一覧にします。
出生届の期限・必要書類を確認する出生届は、国内出生では子が生まれた日から数えて14日以内です。必要書類と提出先を確認できます。出生後休業支援給付金の条件を確認する子の出生直後に本人が育児休業を14日以上取得する場合などは、雇用保険の出生後休業支援給付金も確認してください。公式情報と確認日
全国健康保険協会「出産手当金」(確認日:2026年7月28日)全国健康保険協会・2026-07-28確認全国健康保険協会「健康保険 出産手当金 支給申請書 記入の手引き」(2026年6月版、確認日:2026年7月28日)全国健康保険協会・2026-07-28確認次にすること
まず、出産予定日、産休開始日、退職予定の有無、休業中に支払われる給与・手当を勤務先へ確認してください。次に、電子申請か郵送かを決め、申請対象期間の経過後に医師・助産師証明と事業主証明をそろえて協会けんぽへ提出します。