退職証明書は、退職した労働者が会社に請求し、使用期間・業務・地位・賃金・退職理由のうち必要な事項を証明してもらう書類です。会社は遅滞なく交付し、請求していない事項は記載できません。離職票とは別の書類です。

退職証明書とは

労働基準法第22条では、退職した労働者が対象事項の証明書を請求した場合、使用者は遅滞なく交付しなければならないと定めています。証明を求める項目は、請求する側が必要な範囲を指定します。会社が把握している情報をすべて記載する書類ではありません。

退職証明書で請求できる法定項目は次の5つです。
請求できる項目確認する内容
使用期間入社日から退職日までなど、会社で使用された期間の証明です。
業務の種類担当していた職種や業務内容の証明です。
その事業における地位役職など、事業内での地位の証明です。
賃金会社から支払われた賃金に関する証明です。必要な範囲を会社へ明確に伝えます。
退職の事由自己都合、退職勧奨、定年、契約期間満了、解雇などの退職理由です。解雇の場合は、その理由を含みます。
出典:厚生労働省「労働基準法」第22条(確認日:2026年7月28日)厚生労働省・2026-07-28確認

退職証明書を会社へ依頼する方法

提出先に、どの項目の証明が必要か確認します。「退職した事実」だけでなく、使用期間、業務、地位、賃金、退職理由のどれが必要かを具体的に整理してください。

退職した勤務先の人事・総務・労務担当などへ請求します。氏名、退職日、必要な証明項目、希望する受取方法、必要日、送付先をメールや書面で伝えると記録を残せます。

会社独自の申請書や受付方法がある場合は案内に従います。ただし、証明書には自分が請求した項目が記載され、不要な項目が追加されていないか確認してください。

受け取ったら、氏名、会社名、退職日、請求した項目、発行日、発行者の表示に誤りがないか確認します。提出先の指定と合わない場合は、会社へ修正や追加の証明を依頼します。

請求時に伝える内容を整理します。

  • 請求者の氏名と連絡先
  • 退職日
  • 証明してほしい項目
  • 提出先から指定された表現や対象期間
  • 希望する受取方法(郵送、窓口受取、会社指定の方法など)
  • 提出期限がある場合の必要日と送付先

厚生労働省のモデル退職証明書を使うときの注意

厚生労働省は「退職事由に係るモデル退職証明書」を公開しています。自己都合、会社の勧奨、定年、契約期間満了、移籍出向、その他、解雇を選び、解雇の場合は具体的な理由を別紙へ記載する構成です。

厚生労働省「退職事由に係るモデル退職証明書」(PDF、確認日:2026年7月28日)厚生労働省・2026-07-28確認

退職証明書・離職証明書・離職票の違い

名称が似ていますが、作成目的と提出先が異なります。
書類作成・交付の流れ主な役割
退職証明書退職した労働者の請求により、会社が本人へ交付します。使用期間、業務、地位、賃金、退職理由のうち、本人が請求した項目を証明します。
雇用保険被保険者離職証明書会社が作成し、雇用保険の資格喪失手続きとともにハローワークへ提出します。被保険者期間、賃金支払状況、離職理由などをハローワークへ届け出るための事業主側の書類です。
雇用保険被保険者離職票-1・2会社の手続き後、ハローワークの確認を経て退職者本人へ交付されます。本人が基本手当などの受給資格決定を受けるため、住居所を管轄するハローワークへ提出します。

一方、離職票の交付を希望したのに会社から届かない場合、厚生労働省は、身元確認書類と退職したことが分かる書類として退職証明書等を持参し、住居所を管轄するハローワークへ早めに相談するよう案内しています。これは未交付時の相談資料であり、離職票そのものとの置き換えではありません。

出典:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」Q4・Q5(確認日:2026年7月28日)厚生労働省・2026-07-28確認

会社が交付しない・内容が違う場合

最初の請求内容と送信日、会社からの返信、希望受取日を確認します。口頭だけで依頼した場合は、必要項目を明記したメールや書面でもう一度請求します。

交付された内容が請求と違う場合は、該当箇所と正しい内容を示し、修正を依頼します。不要な項目が記載されている場合も、請求していない事項であることを伝えます。

会社が請求に応じない、連絡しても交付されないなどの場合は、請求記録を整理し、最寄りの労働基準監督署へ相談してください。個別の事実関係により確認方法が異なります。

解雇理由の証明を退職前に求める場合

解雇予告を受けた労働者は、予告日から退職日までの間に解雇理由の証明書を請求できます。会社は遅滞なく交付します。ただし、予告後にその解雇とは別の理由で退職した場合は、その退職日以後、会社は解雇理由証明書を交付する必要がないとされています。

出典:厚生労働省「労働基準法」第22条第2項(確認日:2026年7月28日)厚生労働省・2026-07-28確認

よくある質問

退職証明書は何日以内に発行されますか?

会社は請求を受けたら遅滞なく交付する必要があります。提出期限がある場合は必要日を請求時に伝え、遅れている場合は依頼記録を残して会社へ確認してください。

退職理由を請求していないのに会社が記載してもよいですか?

できません。労働基準法第22条第3項により、退職証明書には労働者が請求していない事項を記入してはならないとされています。必要な項目だけを明確に請求してください。

退職証明書があれば失業手当を申請できますか?

通常の受給手続きには離職票-1・2が必要です。離職票が届かないときは、退職証明書等を持ってハローワークへ相談できますが、退職証明書だけで通常の申請が完了するわけではありません。

厚生労働省の様式をそのまま使えばよいですか?

退職理由だけを証明する目的なら参考にできます。ただし、使用期間、業務の種類、地位、賃金も必要な場合は、必要項目を追加で会社へ請求してください。会社指定の申請方法がある場合は、その案内も確認します。

次にすること

まず提出先へ必要な証明項目を確認し、退職した会社へ氏名、退職日、必要項目、希望受取方法、必要日をメールや書面で伝えてください。離職票が届かず失業手当の手続きが進まない場合は、退職証明書等を用意して住居所を管轄するハローワークへ早めに相談します。

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