特定受給資格者は、倒産・解雇など主に事業主側の事情で離職した方です。特定理由離職者は、更新を希望した有期契約の雇い止めや、病気・家族介護・通勤困難など正当な理由のある自己都合離職が中心です。最終的な区分はハローワークが決定します。

特定受給資格者と特定理由離職者の違い

対象となる離職理由、受給資格、所定給付日数への影響を比較します。
比較項目特定受給資格者特定理由離職者
主な離職理由倒産、事業所廃止、解雇、退職勧奨、賃金未払い、著しい労働条件の相違、一定の長時間労働やハラスメントなど更新を希望した有期契約の雇い止め、病気・けが、妊娠・出産・育児、家族介護、通勤困難など正当な理由のある自己都合離職
基本手当の受給資格原則の12か月要件に代わり、離職前1年間に被保険者期間6か月以上で満たす場合があります同じく、離職前1年間に被保険者期間6か月以上で満たす場合があります
所定給付日数年齢と被保険者期間により、一般の離職者より手厚い日数となる場合があります全員が同じ優遇を受けるわけではありません。更新を希望した雇い止め等の一定範囲は、離職日が2027年3月31日までなら特定受給資格者と同じ表が適用されます
最終判断本人・事業主の主張や資料を基にハローワークが決定本人・事業主の主張や資料を基にハローワークが決定

出典:厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」「基本手当について」(確認日:2026年7月28日)

特定受給資格者になる主なケース

特定受給資格者には、倒産等による離職と、解雇等による離職があります。主な例は次のとおりです。

  • 倒産、事業所の廃止、大規模な離職、事業所移転で通勤が困難になった
  • 本人の重大な責任による解雇を除き、解雇された
  • 採用時に明示された労働条件と実際の条件が著しく違った
  • 賃金の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかった
  • 賃金が従前の85%未満へ予期せず低下した、または低下することになった
  • 一定の長時間労働や、行政機関から指摘された危険・健康障害への必要な措置が取られなかった
  • ハラスメント等を受け、事業主が必要な措置を取らなかった
  • 事業主から直接または間接に退職勧奨を受けた
  • 有期契約が更新され3年以上雇用された後に更新されなかった、または更新が明示されていたのに更新されなかった

特定理由離職者になる主なケース

特定理由離職者は、有期契約の雇い止めと、正当な理由のある自己都合離職に大きく分かれます。

  • 有期契約の期間満了時に本人が更新を希望したものの、更新の合意が成立せず離職した
  • 体力不足、心身の障害、病気、けが、視力・聴力の低下などにより離職した
  • 妊娠、出産、育児等により離職し、受給期間延長措置を受けた
  • 父母の死亡・病気・けがや、常時看護が必要な親族など、家庭事情の急変により離職した
  • 配偶者や扶養親族との別居生活を続けることが困難となり離職した
  • 結婚による住所変更、育児の保育事情、交通機関の廃止・時間変更、本人や配偶者の転勤等により通勤が不可能または困難となった
  • 退職勧奨には当たらない企業整備による希望退職募集などに応じて離職した

受給資格と所定給付日数は同じ扱いではありません

特定受給資格者または特定理由離職者は、離職前1年間に雇用保険の被保険者期間が通算6か月以上あれば、基本手当の受給資格を満たす場合があります。一般の離職者は、原則として離職前2年間に12か月以上が必要です。

受給資格の要件と所定給付日数の優遇範囲は分けて確認します。
確認項目扱い
受給資格に必要な被保険者期間特定受給資格者・特定理由離職者は、離職前1年間に6か月以上で満たす場合があります
特定受給資格者の所定給付日数離職時の年齢と被保険者期間に応じ、一般の離職者より手厚くなる場合があります
特定理由離職者の区分1更新を希望した有期契約の雇い止め等の一定範囲は、離職日が2027年3月31日までなら特定受給資格者と同じ所定給付日数表の対象です
特定理由離職者の区分2病気、家族事情、通勤困難など正当な理由のある自己都合離職者全員が、特定受給資格者と同じ所定給付日数になるわけではありません
給付制限正当な理由のない自己都合離職に対する給付制限とは区別されます。実際の扱いは受給資格者証等で確認します

出典:厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「基本手当について」(確認日:2026年7月28日)

ハローワークが離職理由を判定する流れ

事業主が作成した離職証明書の内容だけで区分が確定するとは限りません。離職票の離職理由と実際の経緯が異なる場合は、基本手当の受給手続き時にハローワークへ伝えます。ハローワークは本人の主張、証拠資料、事業主の主張などを確認して離職理由を決定します。

離職者と事業主の主張を確認し、ハローワークが離職理由を判定する流れ
離職票の記載と本人の説明が異なる場合、ハローワークが双方の主張と資料を確認して離職理由を判定します。出典:厚生労働省 ハローワークインターネットサービス(2026年7月28日確認)

会社から届いた離職票-2を確認し、離職理由、具体的事情、本人判断欄が実際の退職経緯と合っているかを確認します。

記載が実際と違う場合は、失業手当の受給手続き時に、住居所を管轄するハローワークの担当者へ相違点を伝えます。

離職理由を説明・証明できる書類があれば持参します。必要な資料は、解雇、退職勧奨、賃金、労働時間、雇い止め、健康・家族事情など、主張する理由により異なります。

ハローワークが本人と事業主の主張、離職票、提出資料等を確認し、雇用保険上の離職理由を決定します。決定後は、雇用保険受給資格者証の離職理由や所定給付日数、給付制限の有無を確認します。

離職票の理由が実際と違うときの準備

ハローワークへ行く前に、次の点を整理します。書類がすべてそろわない場合でも、自己判断で受給手続きを止めず、現在ある資料を持って相談してください。

  • 離職票-1・2をそろえ、離職理由欄を確認した
  • 退職日までの経緯を日付順に整理した
  • 会社へ退職理由を伝えた書面や連絡記録があるか確認した
  • 契約更新が争点なら、労働契約書、更新通知、更新希望を伝えた記録の有無を確認した
  • 賃金・労働時間が争点なら、給与明細、勤怠記録など手元の資料を確認した
  • 病気や家族事情が理由なら、その事情と退職との関係を説明できる資料の有無を確認した
  • ハラスメントや退職勧奨が理由なら、相談記録や会社との連絡記録の有無を確認した
  • 住居所を管轄するハローワークと来所日を確認した

よくある質問

会社都合退職なら必ず特定受給資格者ですか?

必ずしも「会社都合」という呼び方だけで確定しません。倒産・解雇・退職勧奨など特定受給資格者の基準に当たるかを、ハローワークが事実関係に基づいて決定します。

契約社員の雇い止めは特定理由離職者ですか?

更新を希望したのに合意が成立しなかった場合は特定理由離職者に当たる可能性があります。3年以上更新された後の不更新や、更新が明示された契約の不更新は、特定受給資格者に当たる場合があります。

会社が自己都合と記載したら変更できませんか?

会社の記載だけで最終決定されるとは限りません。本人の主張、証拠資料、事業主の主張等を確認し、ハローワークが離職理由を決定します。

公式情報と確認日

この記事は、厚生労働省ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」「基本手当について」と、厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」を2026年7月28日に確認して作成しています。離職理由の最終判断は、住居所を管轄するハローワークへ確認してください。

次にすること

まず離職票-2の離職理由欄を確認し、実際の退職経緯と違う点を日付順に整理してください。相違がある場合は、手元の説明資料とすべての離職票を持ち、失業手当の受給手続き時に管轄ハローワークへ申し出ます。決定後は、受給資格者証の離職理由、所定給付日数、給付制限の有無を確認してください。

失業手当をもらえる条件を確認する基本手当の受給資格に必要な被保険者期間と、対象外になる状態を確認できます。失業手当を何日もらえるか確認する離職理由、年齢、被保険者期間による所定給付日数の違いを確認できます。失業手当の申請方法を確認する離職票、本人確認書類、口座情報など、受給手続きに必要なものと流れを確認できます。