従業員が退職するなど雇用保険の被保険者でなくなったら、事業主は資格喪失届を10日以内に管轄ハローワークへ提出します。離職票を交付する場合は、離職証明書も一緒に提出します。

雇用保険資格喪失届の手続き概要

退職などで雇用保険の被保険者資格を失うときの提出者、期限、提出先、書類を整理します。
確認項目内容
提出者事業主
主な対象退職、死亡、週所定労働時間が20時間未満になった場合、被保険者資格のない役員への就任、出向先で被保険者となる在籍出向など
資格喪失日原則として離職等となった日の翌日
提出期限被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内
提出先事業所所在地を管轄するハローワーク
提出方法e-Govによる電子申請、窓口、やむを得ない場合の郵送
基本書類雇用保険被保険者資格喪失届。離職票を交付する場合は雇用保険被保険者離職証明書も提出
提出後資格喪失確認通知書や離職票-1・2など、本人用の書類を速やかに渡す

厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き【第2編】」25~28ページ、49~50ページを2026年7月28日に確認しています。

資格喪失届が必要になる主なケース

退職以外でも被保険者資格を失うときは届出が必要です。

  • 従業員が自己都合退職、定年退職、契約期間満了、解雇などで離職した
  • 週の所定労働時間が20時間未満になるなど、被保険者要件を満たさなくなった
  • 従業員が法人の役員に就任し、兼務役員としての雇用関係が認められない
  • 被保険者として扱われていた兼務役員が従業員としての身分を失った
  • 他の事業所へ出向し、出向先で雇用保険の被保険者となる
  • 被保険者が死亡した

離職票を交付するかで提出書類が変わる

本人の離職票交付希望と年齢を確認してから書類を準備します。
状況提出書類確認点
離職者が離職票を希望しない雇用保険被保険者資格喪失届労働者名簿、賃金台帳、出勤簿、雇用契約書など、資格喪失の事実を確認できる資料を準備します。
離職者が離職票を希望する資格喪失届+雇用保険被保険者離職証明書賃金、被保険者期間、離職理由を確認できる資料も準備します。
離職時に59歳以上本人の希望にかかわらず資格喪失届+離職証明書厚生労働省の手引きは、59歳以上の離職者には離職票の交付が必要としています。
当初は不要だったが、後日本人から求められた離職証明書を追加提出当初提出しなかった場合でも、後日の交付依頼には対応が必要です。

提出前に準備する書類

離職票を交付するかどうかと離職理由により、確認資料の範囲が変わります。
書類・資料用途
雇用保険被保険者資格喪失届資格喪失日、喪失原因、離職票交付希望、週所定労働時間などを届け出ます。
雇用保険被保険者離職証明書離職票を交付する場合に提出します。紙は3枚1組です。
労働者名簿、賃金台帳、出勤簿・タイムカード在籍期間、賃金、勤務日数、資格喪失の事実を確認します。
雇用契約書、労働条件通知書、就業規則契約期間、週所定労働時間、定年、更新条件などを確認します。
退職願、退職届、解雇予告通知書、退職勧奨の資料離職理由と経緯を確認します。
辞令、役員会議事録、他の社会保険の届出控え役員就任、出向、定年、会社都合などの事実を確認します。
電子申請の確認書または疎明書離職者による離職証明書の記載内容・離職理由の確認を電子申請で証明します。

離職理由ごとに求められる資料は異なります。契約期間満了なら雇用契約書や更新通知、解雇なら解雇予告通知書や就業規則、退職勧奨なら募集要綱や本人の応募を確認できる資料などを整理してください。最終的な離職理由は、事業主と本人の主張・資料を確認してハローワークが判定します。

資格喪失届の主な欄の書き方

現行様式で特に間違いやすい欄を、欄名ごとに確認します。
欄名記入内容注意点
離職等年月日事業所に籍があった最後の日退職日の翌日ではなく、在籍していた最後の日を記入します。資格喪失日は原則その翌日です。
喪失原因離職以外は「1」、事業主都合以外の離職は「2」、事業主都合の離職は「3」自己都合退職、契約期間満了、重責解雇などは「2」、通常の解雇や退職勧奨などは「3」が基本です。個別事情に迷う場合はハローワークへ確認します。
離職票交付希望本人が希望するときは「有」59歳以上の離職者は希望の有無にかかわらず交付対象です。妊娠・出産・育児・疾病等ですぐ働けず、後で失業給付を受ける予定の方も「有」を確認します。
1週間の所定労働時間離職等年月日時点の契約上の週所定労働時間退職直前の契約内容と一致させます。
個人番号離職者のマイナンバー紙様式では印刷後に記入する箇所があるため、現行様式の注意書きを確認します。
離職後の住所・居所判明している離職後の住所・居所不明な場合は離職時の住所・居所を記載する扱いを確認します。
外国人雇用欄ローマ字氏名、在留カード番号、在留期間、国籍・地域、在留資格など対象者は資格喪失届の該当欄により外国人雇用状況の離職届を兼ねられる場合があります。

資格喪失届を提出する手順

退職日、契約変更日、役員就任日、出向日など、被保険者資格を失う原因となった事実と日付を確認します。退職の場合は、事業所に在籍した最後の日を離職等年月日として整理します。

本人に離職票の交付希望を確認します。離職時に59歳以上の場合は、本人が希望しなくても離職証明書を準備します。

労働者名簿、賃金台帳、出勤簿、雇用契約書、退職理由を確認できる書類をそろえます。離職票を交付する場合は、離職証明書の賃金・被保険者期間・離職理由を裏付ける資料を確認します。

資格喪失届を作成し、離職票を交付する場合は離職証明書も作成します。離職証明書の記載内容と離職理由は、原則として離職者本人に確認してもらいます。

e-Gov、ハローワーク窓口、やむを得ない場合の郵送により、被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内に提出します。

ハローワークの処理後、本人用の資格喪失確認通知書、離職票-1・2などを受け取り、離職者へ速やかに渡します。事業主用の通知書と関連資料は適切に保管します。

e-Gov・窓口・郵送の違い

提出方法ごとの特徴と注意点です。
提出方法特徴注意点
e-Govオフィス等から電子申請でき、原則24時間365日利用できます。電子証明書またはGビズID等を準備し、確認資料を添付ファイルとして送信します。離職証明書では本人確認用の確認書や疎明書も確認します。
ハローワーク窓口紙の届書と確認資料を管轄窓口へ提出します。厚生労働省の手引きは雇用保険適用窓口の来所受付を16時までと案内しています。現行様式、受付時間、控えの取扱いを事前に確認します。
郵送やむを得ず持参できない場合に利用します。個人情報漏えいのリスクから郵送は推奨されていません。利用する場合は書留等の記録付郵便と返信用封筒を用意し、到着日数を見込んで提出します。

離職証明書で確認する重要項目

離職証明書は基本手当の受給資格、給付額、給付日数に影響するため、提出前に次を確認します。

  • 離職日と被保険者番号・事業所番号が一致している
  • 被保険者期間算定対象期間を必要な月数まで記入している
  • 賃金支払基礎日数に有給休暇などを正しく含めている
  • 賃金額に毎月の定期給与を正しく計上し、対象外の賞与等を混在させていない
  • 離職理由を事実と資料に基づいて選択し、具体的事情を記載している
  • 離職者本人に記載内容と離職理由を確認してもらっている
  • 本人確認ができない場合の理由、確認書、疎明書などを準備している

提出後に本人へ渡す書類

ハローワークから交付された本人用書類は、速やかに離職者へ渡します。

  • 離職票を発行しない場合:雇用保険被保険者資格喪失確認通知書(被保険者通知用)
  • 離職票を発行する場合:雇用保険被保険者離職票-1、雇用保険被保険者離職票-2
  • 必要に応じて、会社の退職手続きで別途交付する退職証明書や源泉徴収票など

離職票の交付が遅れると、離職者の基本手当の受給手続きが遅れます。資格喪失届等は期限内に提出し、ハローワークから受け取った本人用書類を社内で止めず、速やかに交付してください。

提出前のチェックリスト

期限遅れ、返戻、離職票の遅延を防ぐための確認項目です。

  • 健康保険・厚生年金保険の資格喪失届と提出先を取り違えていない
  • 離職等年月日に事業所に籍があった最後の日を記入した
  • 資格喪失日と10日以内の提出期限を確認した
  • 本人の離職票交付希望と離職時年齢を確認した
  • 喪失原因が退職理由・資料と一致している
  • 週所定労働時間が退職時の契約内容と一致している
  • 離職証明書の賃金・基礎日数・離職理由を資料と照合した
  • 離職者本人による記載内容・離職理由の確認を行った
  • 外国人労働者の該当欄を確認した
  • 提出後の本人用書類を渡す担当者と送付先を確認した

よくある質問

退職日と資格喪失日は同じですか?

同じではありません。原則として、離職等となった日の翌日が資格喪失日です。資格喪失届の離職等年月日は、在籍していた最後の日を確認して記入してください。

離職証明書は全員分必要ですか?

離職票を希望しない方は原則として資格喪失届のみです。ただし、離職時に59歳以上の方は離職証明書も提出します。後日本人から離職票を求められた場合も対応が必要です。

ハローワークのサイトで申請書を作れば提出も完了しますか?

完了しません。申請書作成サービスで印刷した紙は、管轄ハローワークへ提出する必要があります。オンラインで完結させる場合はe-Govの電子申請を利用します。

提出期限を過ぎた場合はどうしますか?

資格喪失届が不要になるわけではありません。遅延理由と資格喪失日を確認できる資料をそろえ、管轄ハローワークへ早めに相談してください。離職票の交付も遅れるため、放置しないことが重要です。

公式情報と確認日

この記事は、2026年7月28日時点の厚生労働省・ハローワークインターネットサービスの公式情報を確認しています。中心資料は、同日時点で公式掲載されている「雇用保険事務手続きの手引き【第2編】被保険者資格の取得・喪失編【令和7年8月版】」です。様式や添付書類は改定される場合があるため、提出時は現行様式と管轄ハローワークの案内も確認してください。

次にすること

まず退職日等の資格喪失事由、本人の離職票交付希望、離職時年齢を確認してください。労働者名簿、賃金台帳、出勤簿、雇用契約書、離職理由の資料をそろえ、資格喪失届と必要な離職証明書を10日以内に提出します。健康保険・厚生年金保険の資格喪失届は別に手続きしてください。

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