所得控除は所得から差し引いて課税所得を減らす仕組みで、税額控除は課税所得に税率を掛けて算出した所得税額から直接差し引く仕組みです。計算順は原則として、所得控除が先、税額控除が後です。

所得控除と税額控除の違い

2つの控除は、所得税の計算で差し引く位置が異なります。
比較項目所得控除税額控除
差し引く対象各種所得の金額の合計額税率を掛けて算出した所得税額
計算する順番税率を掛ける前税率を掛けて税額を算出した後
税額への影響控除後の課税所得と適用税率によって変わる制度上の控除額を算出税額から直接差し引く
主な例基礎控除、社会保険料控除、医療費控除、生命保険料控除、扶養控除など住宅借入金等特別控除、配当控除、外国税額控除など
確認するポイント所得要件、控除対象額、年末調整・確定申告の手続き控除限度額、算出税額、適用期間、必要書類や手続き
出典:国税庁「No.1100 所得控除のあらまし」(確認日:2026年7月28日)国税庁・2026-07-28確認出典:国税庁「No.1200 税額控除」(確認日:2026年7月28日)国税庁・2026-07-28確認

所得税の計算では所得控除が先、税額控除が後

給与所得、事業所得など、その年の各種所得を計算します。収入金額そのものではなく、必要経費や給与所得控除などを反映した所得金額を使います。

適用要件を満たす所得控除を所得から差し引き、課税される所得金額を求めます。

課税される所得金額に所得税率を適用して、所得税額を計算します。分離課税等を除く所得税率は5%から45%の7段階です。

適用要件を満たす税額控除を、算出した所得税額から差し引きます。その後の最終的な納付額・還付額は、復興特別所得税や源泉徴収税額、予定納税額なども含めて決まります。

出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」(確認日:2026年7月28日)国税庁・2026-07-28確認

同じ10万円でも税額への影響は異なる

復興特別所得税、端数処理、他の控除を省略した単純な比較例です。実際の申告では各制度の計算式と上限を使います。
控除の種類10万円の扱い単純例
所得控除10万円課税所得が10万円減ります。税額が直接10万円減るわけではありません。差し引かれる10万円が所得税率10%の範囲に収まる場合、所得税への影響はおおむね1万円です。
税額控除10万円算出した所得税額から制度上の控除額を直接差し引きます。算出税額と制度上の限度額が十分にある場合、所得税額を最大10万円減らす計算になります。

主な所得控除

国税庁が案内する所得控除には、次のようなものがあります。

  • 基礎控除
  • 社会保険料控除
  • 医療費控除
  • 生命保険料控除・地震保険料控除
  • 配偶者控除・配偶者特別控除
  • 扶養控除・特定親族特別控除
  • 寄附金控除、雑損控除、障害者控除、ひとり親控除など

所得控除は、同じ控除額でも、控除を受ける人の課税所得や適用税率によって所得税への影響が変わります。また、控除ごとに所得要件、対象となる支出、控除額の計算、申告方法が異なります。

主な税額控除

個人の所得税で確認する代表的な税額控除には、次のようなものがあります。

  • 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
  • 配当控除
  • 外国税額控除
  • 一定の政党等・認定NPO法人等・公益社団法人等への寄附に関する特別控除

税額控除も、控除可能額がそのまま無条件に還付される制度ではありません。控除の種類ごとに計算式、限度額、選択適用、繰越し、確定申告や年末調整の可否が異なるため、対象制度の公式案内を確認します。

控除額と還付額を混同しない

還付額は、年間の所得税を所得控除・税額控除まで含めて計算し直し、すでに給与などから源泉徴収された税額や予定納税額と比べて、納め過ぎがある場合に生じます。控除額が大きくても、源泉徴収税額が少ない場合などは、同額が振り込まれるとは限りません。

年末調整や確定申告の前に確認する項目です。

  • 使いたい制度の正式名称を確認する
  • 所得控除か税額控除かを確認する
  • 申告する年分の対象条件と控除額を確認する
  • 年末調整で扱えるか、確定申告が必要かを確認する
  • 証明書、明細書、残高証明書など必要資料を確認する
  • 源泉徴収票の源泉徴収税額と、申告後の計算結果を比較する

よくある質問

所得控除と税額控除はどちらが得ですか?

同じ控除額だけを単純比較すると税額控除のほうが税額へ直接作用しますが、通常は好きな方式を自由に選ぶものではありません。利用できる控除は支出内容、家族状況、所得、住宅、寄附先などの要件で決まります。選択適用がある制度は、その制度の公式計算で比較してください。

医療費控除は税額控除ですか?

所得控除です。医療費控除額がそのまま還付されるのではなく、所得控除を反映して所得税を再計算し、源泉徴収税額などとの過不足から還付額が決まります。

住宅ローン控除の金額は全額戻りますか?

算出した所得税額、制度上の控除限度額、適用年分の要件などにより異なります。給与所得者の手続きも、初年度と2年目以後で異なる場合があるため、対象年分の国税庁案内を確認してください。

基礎控除や扶養控除の金額がそのまま税金から引かれますか?

そのまま税額から引かれるわけではありません。所得から控除した後の課税所得に税率を適用するため、実際に減る所得税額は課税所得や税率などによって変わります。

公式情報と確認日

この記事は2026年7月28日時点で、国税庁の所得控除、税額控除、所得税率の公式情報を確認しています。控除額や適用条件は税制改正で変わる場合があるため、申告時には対象年分の公式案内を確認してください。

次にすること

まず、利用したい控除の正式名称を確認し、所得控除か税額控除かを分けてください。次に、申告する年分の要件、必要資料、年末調整・確定申告のどちらで手続きするかを確認します。医療費控除などで還付を受ける場合は、源泉徴収票の源泉徴収税額も確認してください。

医療費控除の必要書類を確認する医療費控除の必要書類と明細書の作り方を確認します。特定親族特別控除の条件を確認する19歳以上23歳未満の親族に関する所得控除を確認します。還付申告の期限と手順を確認する所得税の納め過ぎがある場合の還付申告を確認します。