年金の繰上げ受給は、老齢基礎年金・老齢厚生年金を原則の65歳より早く、60歳から65歳になるまでの間に受け取り始める制度です。早めた月数に応じて年金額が減り、請求後の減額率は生涯変わりません。

年金の繰上げ受給の基本ルール

2026年7月28日時点の全国共通の原則です。特別支給の老齢厚生年金などに該当する方は計算方法や請求方法が異なる場合があります。
確認項目原則
対象となる年金老齢基礎年金、老齢厚生年金
請求できる時期60歳から65歳になるまでの間
減額率請求月から65歳到達月の前月までの月数に応じて計算
基礎年金と厚生年金原則として同時に繰上げ請求
支給開始請求した日の翌月分から
請求後の変更取消し・変更はできません
減額の期間生涯続きます

繰上げ受給の減額率

1962年4月2日以降生まれの方は、繰上げる1か月につき0.4%減額され、60歳ちょうどで請求すると最大24%の減額です。1962年4月1日以前生まれの方は、1か月につき0.5%、最大30%です。

整数年齢で請求する場合の減額率です。実際は月単位で決まり、請求時期が65歳に近づくほど減額率は小さくなります。
請求時の年齢1962年4月2日以降生まれ1962年4月1日以前生まれ
60歳24.0%30.0%
61歳19.2%24.0%
62歳14.4%18.0%
63歳9.6%12.0%
64歳4.8%6.0%

繰上げ請求前に確認する注意点

次の項目に関係する方は、一般的な減額率だけで決めず、請求前に年金事務所等へ確認してください。

  • 減額された年金額は生涯続き、繰上げ請求を後から取り消したり65歳開始へ戻したりできません
  • 繰上げ請求後は、国民年金への任意加入や免除・納付猶予期間等の保険料追納ができません
  • 65歳になるまでに雇用保険の基本手当や高年齢雇用継続給付を受ける場合、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となることがあります
  • 厚生年金に加入して働く場合は、給与・賞与と年金額に応じて老齢厚生年金が支給停止となることがあります
  • 65歳になるまでの間は、繰上げた老齢年金と遺族厚生年金などを同時に受け取れず、いずれかを選ぶ場合があります
  • 繰上げ請求日以後は、国民年金の寡婦年金が支給されず、事後重症などによる障害基礎年金・障害厚生年金を請求できなくなります
  • 共済組合の加入期間や厚生年金基金の年金がある場合は、同時請求や減額の扱いを別途確認する必要があります

繰上げ受給が向くか判断する確認順

繰上げ受給は早く収入を得られる一方、毎回の年金額が生涯減ります。単純な損益分岐年齢だけでなく、健康状態、就労収入、貯蓄、配偶者の年金、税金・社会保険料、他の年金の受給権を含めて判断します。

ねんきん定期便やねんきんネットで、65歳から受け取る場合の老齢基礎年金・老齢厚生年金の見込額を確認します。

ねんきんネットの「詳細な条件で試算」で、60歳から64歳までの受給開始年齢を設定し、複数の試算結果を保存して比較します。

任意加入・追納の予定、雇用保険、働きながらの受給、遺族年金・障害年金、共済・企業年金の有無を整理します。

取消しできない点を理解したうえで、年金事務所等で個別の年金額と請求様式を確認します。

繰上げ受給の手続き

繰上げを希望する場合は、65歳になる前の受給を始めたい時期に請求します。手続きをした時点で減額率が決まり、請求日の翌月分から支給されます。

年金事務所または街角の年金相談センターで、見込額、請求後の制限、他の年金との関係を確認します。

老齢年金を初めて請求する方、特別支給の老齢厚生年金を受給している方など、現在の受給状況に合う繰上げ請求書を確認します。公式様式案内では、状況により様式第102号・第234号などが分かれています。

必要事項を記入した請求書を、近くの年金事務所または街角の年金相談センターへ提出します。添付書類は個別の年金記録や請求状況で異なるため、提出先の案内に従ってください。

繰上げ受給と繰下げ受給の違い

受給開始を早める繰上げと、遅らせる繰下げは、年齢、増減率、請求後の扱いが異なります。
項目繰上げ受給繰下げ受給
受給開始60歳から65歳になるまで原則66歳以後75歳まで
年金額月数に応じて減額月数に応じて増額
基礎年金と厚生年金原則として同時請求原則として別々に選択可能
主な確認点取消不可、任意加入・追納、障害・遺族年金、支給停止加給年金・振替加算、在職老齢年金、他の公的年金、税・保険料

よくある質問

老齢基礎年金だけを繰り上げられますか?

原則として、老齢基礎年金と老齢厚生年金は同時に繰上げ請求します。ただし、特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢の特例に該当する方などは、一部繰上げとなる場合があります。個別の請求方法を年金事務所等へ確認してください。

請求後に65歳開始へ戻せますか?

戻せません。繰上げ請求をした後は取消しや変更ができず、決まった減額率が生涯続きます。

働きながら繰上げ受給できますか?

受給できますが、厚生年金に加入して働く場合は給与・賞与と年金額に応じて老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となることがあります。老齢基礎年金は在職による支給停止の対象ではありません。

繰上げ請求をすると、いつの分から支給されますか?

日本年金機構の案内では、繰上げ請求をした日の翌月分から支給されます。実際の振込時期は年金決定後の通知で確認してください。

公式情報の確認日

この記事は、日本年金機構の「年金の繰上げ受給」「65歳前に老齢年金の受給を繰上げたいとき」「65歳前に年金を繰り上げて受け取りたいとき」「『ねんきんネット』による年金見込額試算」を2026年7月28日に確認して作成しています。

次にすること

請求前に次の順番で確認してください。

  • ねんきんネットまたは年金事務所で65歳開始と繰上げ開始の見込額を比較する
  • 国民年金の任意加入や追納を先に行う必要がないか確認する
  • 雇用保険、働きながらの受給、遺族年金・障害年金への影響を確認する
  • 現在の受給状況に合う請求書と添付書類を確認する
  • 取消しできないことを理解してから請求する
年金の繰下げ受給を確認する65歳より遅く受給を始める場合の増額率と注意点を比較できます。国民年金の任意加入手続きを確認する繰上げ請求後は国民年金へ任意加入できないため、60歳時点で納付月数が480月未満の方は先に条件を確認してください。